酒井良枝さんと晴奈さんは、母娘でごきげんファームを利用しているスタッフさんです。 

母の良枝さんは、通院先の病院の待合室でごきげんファームのパンフレットを見て2011年から利用を開始しました。「当初は娘に通わせたいと思っていたのですが、嫌だと言われました。ですがちょうど私自身が母親の介護をしており、介護用品のレンタル費用のために働きたいと思っていた時期でもありました。ごきげんファームで働いた工賃が少しでも足しになればと思い通うようになりました」と良枝さん。 

現在は週２，３日通所し、畑で収穫された野菜の出荷作業を担当しています。「野菜をきれいにして袋詰めしたり、店頭に出荷する野菜の値札貼りをしたりしています。仕事は楽しいです。全部楽しいです。家にいると人と会話することがありませんが、作業に来るとたくさんの人に会えます。みんなの顔を見るだけで癒されます。通所してから嫌だと感じたことは一度もないですね」と笑顔で話します。 

当初は、通所に関心がなかった晴奈さんも、生き生きと通う母親の姿を見て通所を決めました。「お母さんが楽しそうにしているからどんな場所かと思って。行ってだめだったら辞めようと思っていました」と振り返る晴奈さん。現在、午前中はガーデンで除草作業を中心に行い、午後は良枝さんと同じ出荷場で汗を流しています。「草取りは楽しいです。作業は大変だけど、休憩もあるし職員さんもスタッフさんもみんな話しかけてくれるのが嬉しい。馬の“大地”やニワトリにも癒されています。つらいと感じたことは一度もないです」とここで過ごす日々に満足している様子です。入所してから一番楽しかったのは、初めて参加した土曜イベント。「カラオケでみんなの歌を聞いて楽しかった」と教えてくれました。 

晴奈さんが通所を始めた当初は、良枝さんが１日のできごとを質問することが多かったそうですが、今は晴奈さんの方から「今日の給食にシチューが出たよ」とその日あったできごとを報告してくれることが多くなったといいます。良枝さんは「晴奈は通所してから規則正しい生活習慣が身に付きました。仕事の日は夕飯を作ってもらっているのですが、給食のメニューを参考に腕を振るってくれる日もあります」と娘の成長に目を細めます。 

良枝さんと晴奈さんは、ここでの経験を生かして家庭菜園で野菜を育て始めたそうです。「じゃがいもやナスを植えました。これから収穫が楽しみ」と２人は口を揃えます。この先も、できる限りごきげんファームで過ごしたいと笑顔で話してくれました。