「Ristorante TSUMU(リストランテ・ツム)」
オーナーシェフ

大井健司さん
「Ristorante TSUMU」
オーナーシェフ
ごきげんファームの野菜や平飼い卵は、飲食店様にもご利用いただいています。つくば国際会議場1階にある「リストランテ・ツム」もその一つです。完全予約制のイタリア料理店で、店名には、食を通して地域とつながりながらさまざまなストーリーを紡いでいく中心でありたいという、オーナーシェフの大井健司さんの思いが込められています。
リストランテ・ツムの他につくば市二の宮の洞峰公園内にある「マジロカフェ」や、つくばエキスポセンターのサンドイッチ専門店「ロケットベース」を展開する大井さんは、つくば市出身。子供の頃、手をかけて毎日の食事を作ってくれた母親の影響もあり、料理に関心があったと言います。とは言うものの、料理人としての出発点は26歳と決して早いものではありませんでした。ファミレスの店長をしながら未来を模索していた時に漠然と「つくば市でカフェをやりたい」と思い立ち、市内の行列ができる人気店で働き始めます。そこで初めて焼き菓子を作った際、オーブンに入れた生地が膨らんで菓子が完成することにおもしろさを感じました。その時の感動が転機となり、好奇心が赴くままがむしゃらに勉強して料理の世界に没頭していきました。イタリアでの修行中、すべての州を回りその土地の郷土料理を食べた経験から、素材のおいしさが料理の味を決めるのだと痛感したと言います。そして帰国後は、都内や神戸のレストランで修業を重ね、2021年に地元であるつくば市に戻り独立しました。

ごきげんファームの野菜や卵を使うことになったきっかけについて大井さんは、次のように話してくださいました。「マジロカフェのオープンに当たり、野菜の仕入れ先をどうしようかと思ってきたところ、付き合いのあった市内の食肉販売会社の方からごきげんファームを紹介してもらいました。実際に何度か農場を見学させてもらいました。ごきげんファーム上郷の養鶏所にも足を運びましたが、おいしい卵を生産するために鶏のエサにビール粕やワイン酵母などを使う取り組みにすごく共感しましたね。さらに障がいの有無に関わらず、そこで働く人たちが、愛を持って仕事をしていることが伝わってきました。そういう思いがある人たちが作る野菜や卵を使いたいと思っていますし、こんな素敵な人たちがつくば市にいることが嬉しかったです。実際、野菜も卵もすごくおいしいです」
都内のレストランで働いていた時、コロナ禍で苦しむ農家さんを目の当たりにしたという大井さん。飲食店の休業に伴い行き場を失った数々の食材。当時は店の一従業員であったため、困難に直面する知り合いの農家さんへ手を差しのべることができないもどかしさがあったと振り返ります。その時の経験も含めて「出口をいっぱい持った料理人になりたい」と思ったことが、独立して一店舗ではなく複数の店舗を運営する今につながっていると言います。

昨年、ごきげんファームの養鶏所で余剰卵が発生した際には、「すべて持ってきてもらって大丈夫ですよ」と声を掛けていただきました。つくば市内で業態の異なる店舗を運営することで、さまざまな食材を受け入れられる、すなわち「出口」を持った料理人としてたくさんの縁をつないでいます。そして、できる限り生産者に会う機会を増やし、その土地ならではの食材の良さを引き出す一皿を提供していきたいと思い描きます。
座右の銘は父親がよく口にしていた「現状維持は退化と同じ」。大井さんが紡いでゆくストーリーの中に、ごきげんファームの野菜や卵が彩りを添えることができたらうれしく思います。この4月には、市内でケーキ屋をオープンさせる予定で準備を進めているそうです。「つくば市で新しいステージに挑戦することにワクワクしています。好奇心を大事にし、おもしろそうだと思うことへのチャレンジの連続が、ハッピーなつくば市につながると思っています」
Ristorante TSUMU(リストランテ・ツム)
つくば市竹園2-20-3 つくば国際会議場内