荒間 瑛
農業事業責任者・管理者
Q1.なぜ「ユアフィールドつくば」に興味を持ったか? どのような経緯で入社に至ったか?
中学1年生で不登校になり、高校は定時制に通いました。自分なりにちゃんと生きていましたが、どこか社会からはみ出しているという感覚もありました。もし自分の人生も生物学的に俯瞰できれば、生きづらさが少しは和らぐのではないかと思い、高校卒業後は農学部に進学しました。大学の講義では進化論が一番面白かったですね。ただ、ここでもまた不登校になりました。その間は農業研修で長野に滞在したり酒蔵で働いたりして過ごしていたのですが、そこでの「体を動かしながら学ぶ」という生活が自分に合っていると感じました。
そうした体験と、パートナーがつくばに住んでいたことから、大学卒業後は「つくば」「福祉」「農業」をキーワードに就職活動をしました。福祉に関心を持ったのは、過去の生きづらさから障がいに対して当事者意識があったから。そしてたどり着いたのが、ごきげんファームでした。
Q2,今はどのような業務に携わっているか? 大切にしていること、成長したことは
2020年4月に入職し、現在は養鶏責任者として上郷事業所に勤務しています。上郷の養鶏場は2019年の開場当初から近隣の養鶏場に倣った飼育方法で運営していて、現在も私たちの養鶏の基礎になっています。ただ、私が入職した当初は「型はあるけど思想がない」ように感じさせられる状態でした。ですから、生じる疑問を手がかりにしながら、餌の作り方や鶏の入れ方など、一つ一つの取り組みに根拠を与え、私たちがやる理由のある養鶏に組み立て直していきました。今もその途中です。
この春、管理者にもなりました。以前は、特に養鶏に関しては、自分が一人で何とかしなくてはと思うところが多かったのですが、最近は、そもそも一人で何とかするのは無理だと気がついたこともあり、私も含めそれぞれの役割における意見は尊重しつつも、皆で考えることを大切にしています。
私は失敗しないように事前に準備したいと思うタイプなのですが、みんなと話し合うようになってから必要以上に失敗を恐れる必要はないと感じています。相手が失敗したからといってすぐにその人を判断するわけではありませんし、相手も同じだと思えるようになりました。みんなとともに考えてゆく時間を積み重ねる中で、自分を受け入れてもらえていると感じることができます。そういう気づきが自分の変化と成長です。
週に1回、必要に応じて鶏の屠殺をしていますが、精神的にかなりつらいものがあります。暴力が凝縮した自分の行為に矛盾を感じ、苦しくなります。厳密な意味では、同じ痛みをわかる人はいないと思い、孤独に感じることもありました。
でも最近は昔より苦しさがやわらいできました。それは、自分の経験は共有できないけれど、ここで一緒にファームスタッフと鶏の世話をしている時間を通して、みんなで痛みを分け持っているのかなと。みんなでやっているのだと感じられるようになりました。
Q3.モットーを教えてください
力を抜いて、気楽に考え続けることです。すぐに判断するのが苦手ですし、一方ですぐに理解されるのも嫌です。結論を急ぐのではなく、考え続けていきたいと思っています。
Q4、今後の目標や夢は?
近い目標は、上郷事業所として鶏の屠殺場を始め、食肉事業を展開していくことです。そして、約5年後には独立してつくば市内で別のB型事業所をやりたいと考えています。独立したい理由は色々ありますが、「つくば市内で」と思うのは、今関わっている人たちと、これからも関係を続けていきたいと思うからです。これから作る屠場も活用する予定なので、なおさらですね。笑
Q5、あなたにとってユアフィールドは?
気楽に出社できる、自分を受け入れてもらえている、そんな居場所です。